角パイプ06 : 製造者の品質目標(2) (テクノ・コラム)
投稿日:08.13.2010|カテゴリー:TechnoColumn|コメント・トラックバック:0件
<←もどる> (目次) <⇒次へ>
続けていきます。
③隣り合った平板部分のなす角度:±1.5°
・・・スコヤ(直角定規)を四隅の角部に添えて、”カタカタ”しなくなるまでロール位置調整をします。当然辺の長さが大きくなれば”カタカタ”の許容差は大きくなります。特別な時でない限り何度であるかの測定はしません。(今はデジタル測定器があり、直ぐに測定できます)
ここで、平板部が凸であると、直角度も判別できません。
④角部の寸法:3t以下
・・・角形鋼管04:寸法許容差(テクノコラム) にて説明しましたとおり、Sとなります(図再)。製造者は、寸法、平坦度、曲がり・ネジレなどの要件を満たしながら結果的に出来上がったSを極力均一にするよう心がけます。このSをそろえるのは、すんなり行く場合と、全くそろわない場合があります。ここは熟練者の腕の見せ所なのだと思います。余談ですが、S(=Rs)とゲージアールRgとは関係があります。素管の直径とサイズ(縦×横)、肉厚及び材質に関係しています(製品設計・ロール設計によっても大きく変わってきます)。逆に言えば、お客様のご要望サイズの角鋼管を作る時(ロールなどを新規作成する必要のある)、予想形状・予想仕様が設計者には必ずあります。
⑤長さ:+規定せず 0
・・・定尺購入の場合、+30mmとか+50mmです。以前に比べ今ではカット機の性能が格段に向上したので、数mm単位でコントロールできます。昨今材料高で、この予長もだんだん短くなる傾向があります。
⑥曲がり:全長の0.3%以下
・・・定尺6,000mmの0.3%は18.0mmと極めて大きい値となっています。大抵のメーカーでは、自社許容差(公差)を持っていて、通常1/1000mm以下(1000mm=1Mで1mm以下)です。例えば6,000mmで6mm以内の曲がり。許容差として表記はできますが、では、実際どのような測定方法を取るのでしょう?やってみようとすると、困難を極めます。JISではひとくくりに曲がりと記述していますが、製造者・メーカーは測定要素として純粋な?曲がりとネジレを別々に測定します。その時、どちらも長手方向の途中で曲率が変わらない前提で計測します。
曲がりは、被測定管を2本用意し、1本をひっくり返し、2本の管端を合わせ、中央の隙間の半分が曲がり。
ネジレは、定盤上に被測定管を置き、理想接着点4箇所の内、ネジレがあれば一箇所ののみ隙間ができるので、その隙間を長さを測定し、長さ換算した数値が単位長さ当たりのネジレといいます。
以上のように、曲がりは結構難しい概念です。各メーカーにより、OK(良品)の概念が異なるようです。
⑦厚さ:溶接によって製造した角形鋼管:±0.3mm(3mm未満)、±10%(3mm以上)
・・・角鋼管の板厚は、素管(丸)の肉厚とほぼ同じ厚みになります。もう少し正確に言えば、角鋼管の方が、若干板厚が厚くなります。ロール成形において、材料をロール孔形内を通過させると外周が縮まります。この縮んだ分は、長さにいくか、増肉になります。どちらかは一概には言えません(製法によっても異なります)。材料の元の厚み、材質、ロールプロフィール、ロール配置(設計思想)により異なります。
<←もどる> (目次) <⇒次へ>
コメント/トラックバック
トラックバック用URL:
この投稿のコメント・トラックバックRSS