構造解析08_弾性・塑性 (Techno Column)
投稿日:10.31.2010|カテゴリー:TechnoColumn|コメント・トラックバック:0件
金属などに力を加え変形させた後、解放し、完全に元に戻った場合の変形を弾性変形。
この変形はご存知の通り、フックの法則に従っています。
今度は、先ほどより大きな力を加え、変形させた後に解放しても元の状態には戻らない場合、
この変形を塑性変形といいます。それと同時に加工硬化します。
この加工硬化があるからこそ、塑性加工ができるのです。
ちなみに、この弾性変形から塑性変形の分岐点を降伏点といいます。
上図を御覧下さい。例えば、鉄棒をものすごい力で徐々に引張っていきます。すると弾性変形域(解放すると元に戻る領域)から塑性変形域(解放してももう元には戻らない)に入ります。すると、丸棒が徐々に細くなってきます。この時、加工硬化がない場合、細くなった部分(断面)が弱い為、どんどんその部分が細くなり、そこからちぎれてしまいますが、実際はそうなりません。細くなったその時(塑性変形した)、加工硬化して、その隣が伸びだし・加工硬化するため、均一に伸びていきます。
当社で特に断りがない場合、
FEM解析・構造解析といえば、静解析=弾性域での変形を扱っているものです。
ですので、今まで例で上げたH型鋼にかんして、塑性変形域ではなく、
弾性域(荷重を解放すると元に完全に戻る)にある荷重しかかけていません。
ご了承下さい。
それでは、大きな変形を加えた塑性域のFEM解析はあるのか?といえば、あります。
それは、動解析(=塑性域)とか成形解析と呼んでいます。
FEM(有限要素法:有限のメッシュに切って解析をする方法)には沢山の種類があります。
ご興味のある方は調べてみてください。
・弾塑性有限要素法(静的陽解法)
・微少変形弾塑性有限要素法(静的陽解法・静的陰解法)
・大変形弾塑性有限要素法(静的陽解法・静的陰解法・動的陽解法)
○剛塑性有限要素法(静的陰解法)
・・・・
塑性域での変形の研究は現在、大学や一部の企業で解析されています。
相当難しい上に、時間もかかります。ですので、必然的にすべてが高価になります・・・。
こんなものがあることだけでも知っていて損はないと思います。
贅沢を言えば、弾塑性有限要素法のやり方(条件入力など)を学ぶだけでも、
塑性加工をなりわいとする者にとって、製品品質に与える諸条件が意識されるようになり、
極めて有効と考えます。
更にいえば、教育者や開発者を育成する大学・研究所などは必須と考えます。
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